法律コラム
2021年10月22日
弁護士法人琉球法律事務所
弁護士 山下 剛
最近よく「家族信託」という言葉を耳にしませんか。
この「家族信託」という呼称には、「信頼できる家族に財産の管理処分を任せる信託」という意味が込められています。
具体的には、例えば、ご自身が高齢となったり、認知症になってしまうことで財産管理が難しくなるような場合に備えて、自分の資産の管理や処分を、信頼できるご家族に託すことなどが想定されています。
ご家族等の信頼できる方に財産の管理や処分を託す場合には、信託法という法律に規定される「信託」という仕組みを利用して、信託契約書という書類を取り交わすことになります。
この「家族信託」という仕組みがどうして活用されているかというと、「信託」という仕組みを活用することで、他の生前対策と比較して、柔軟に財産の管理や承継が可能となるという特徴があるからです。
例えば、遺産の承継のための対策方法の一つとして「遺言」がありますが、「遺言」では、財産の承継については、あくまで一世代限りの財産の承継先を指定できるだけとなります。
しかし、「家族信託」では、自分が亡くなった場合の財産の承継先について、例えば、最初にまず子供が財産を承継して、それからさらに特定の孫に財産を承継させるなどといった、二世代目以降の財産承継についても規定することが可能です。
また、自身が高齢や病気のため財産管理が出来なくなった場合に関しては、「成年後見制度」という仕組みがありますが、この制度はあくまで自身のために財産を守ることに重点が置かれているため、例えば積極的な資産運用(不動産の買い替え、売却、投資等)は事実上難しくなってしまいます。
これに対して、「家族信託」の仕組みを利用すれば、財産の管理・処分を任せる目的にこの資産活用を加えることも可能となります。
このようにかなり柔軟に自分の財産の管理や承継に活用できる「家族信託」ですが、あくまで自分が元気なうちに契約をしておかなければなりません。これはほかの生前対策の方法と同じで、例えば自身が重度の認知症になってしまったような場合には、契約自体できないことになってしまうからです。
当事務所では、この「家族信託」や「遺言」など複数の方法を組み合わせることで、ご相談者の要望に沿ったオーダーメイドの生前対策を支援していますので、是非一度お気軽にご相談ください。
以上