法律コラム
2021年12月21日
弁護士法人琉球法律事務所
弁護士 絹川恭久
琉球法律事務所では、顧問契約を結んでいる顧客企業様から契約書レビューの依頼を受けることがあります。今回は、契約書の中でも、特定の相手方と同種の取引を頻繁に行う際に締結する「取引基本契約書」について、いくつかの注意点を書きたいと思います。
例えば建築関係の会社が建材の卸会社から資材を購入したり、飲食店が食材卸の会社から食材を繰り返し購入したりする場合、同じ企業間で反復して同種(売買)の取引をすることになります。このような場合、比較的小規模の会社同士では、発注書と請書のみのやり取りで取引の約定を済ませ、別途書面の契約を作らないケースも多いかと思います。
しかし弁護士の立場からは、こういった場合でも「取引基本契約書」という契約書を作ることをお勧めします。これには二つの理由があります。
一つは『発注書と請書のやり取り』のみでは、契約違反の時の対処法などが細かく規定されていないため、万一支払遅滞などが生じた場合にどのように処理するべきかが不明確になってしまいます。
また、契約紛争が裁判所に持ち込まれる場合、契約に規定がないと、被告(訴えられる側)の会社が所在する裁判所で提訴しなければならなくなります。取引相手が県外企業である場合、わざわざ県外の裁判所で訴訟を起こさなければならなくなる可能性もあります。
トラブルが無いに越したことはないですが、こういった万一のトラブルの時に「依って立つ指針」を明確にすることが大事です。そのためにも、特に反復して同種の取引をする取引相手とは、「取引基本契約書」を作成して、予めトラブルの際の指針を明確化しておくことをお勧めします。琉球法律事務所では、企業のために「取引基本契約書」の作成やレビューのサービスを提供しています。
以 上