建設業界において、「人手不足」はもはや慢性的な課題を超え、危機的な状況と言っても過言ではありません。現場を支える職人さんの高齢化や若手入職者の減少に、頭を悩ませている経営者様も多いのではないでしょうか。
こうした背景の中、建設業を持続可能なものにするため、「建設業法」が改正され、令和6年6月14日に公布されました 。
今回は、建設業法の改正ポイントである「処遇改善・働き方改革」について、企業が押さえておくべき内容を分かりやすく解説します 。
1. なぜ今、規制強化なのか?
これまで建設業界では、激しい受注競争や工期短縮の要請により、現場の労働者にしわ寄せがいくケースが少なくありませんでした。しかし、これでは若い人材が集まらず、業界自体が立ち行かなくなってしまいます 。
今回の改正の目的は、「建設業の担い手の確保」と「適切な施工の確保」です。現場で働く人の処遇を良くし、無理のない働き方を実現するために、国が契約のルールを法律で厳しく規制することになったのです。
2. ここが変わる!改正のポイント
今回の改正で特に重要なのは、発注者(注文者)と受注者の力関係によって生じがちな、「お金」と「時間」に関する無理な契約の禁止です 。
① 「安すぎる」契約・見積もりの禁止
「仕事が欲しいから」と、赤字覚悟で安く請け負うことはありませんか? 今後はそれが法律違反になる可能性があります。
- 何が禁止される?
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通常必要と認められる「材料費」などの額を著しく下回る見積書を作成することや、そうした不当に低い金額での契約締結が禁止されます 。
- ポイントは?
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この規制は「注文者(元請)」だけでなく、「受注者(下請)」側も対象となります 。つまり、安すぎる金額での発注はもちろん、受注側がそれを受け入れることも是正の対象となるのです。
② 「短すぎる」工期の禁止
長時間労働の温床となっていた「無理な工期」についても、明確に「NO」が突きつけられました。
- 何が禁止される?
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工事を行うために通常必要と認められる期間に比べて、著しく短い期間を工期とする契約を結ぶことが禁止されました 。
- ポイントは?
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こちらも注文者だけでなく、受注者においても禁止されます。発注者の都合による急な工期短縮要請はもちろん、受注者が無理をして「やります」と引き受けることもできなくなります。
3. 企業への影響と対策:今のうちに準備すべきこと
この改正法は、公布日(令和6年6月14日)から起算して1年6ヶ月を超えない範囲で施行されます。つまり、遅くとも令和7年(2025年)12月頃までには新しいルールでの運用が始まります。
施行直前に慌てないよう、以下の準備を進めておきましょう 。
- 契約プロセスの見直し
「いつも通りの金額・工期」で契約書を使い回していませんか?今後は、その契約内容が「通常必要と認められるコストや期間」に基づいているか、客観的な根拠を持つ必要があります。 - 発注者(施主)への意識改革・交渉
元請企業の方は、施主に対して「適正な価格転嫁」と「適正工期」の必要性を説明し、理解を得る努力が求められます。法律が変わったことを、健全な取引交渉の材料として活用してください。 - 社内コンプライアンスの周知
営業担当者や現場監督が、知らず知らずのうちに法違反となる約束をしてしまわないよう、新しいルールを社内に周知徹底しましょう。
まとめ
今回の建設業法改正は、「適正な価格」と「適正な工期」で仕事をすることが、法律上の義務になるという強いメッセージです 。
「安く、早く」はビジネスの基本ではありますが、それが働く人の犠牲の上に成り立っていては、企業の未来はありません。この法改正をチャンスと捉え、自社の契約実務や取引先との関係性を、より健全で持続可能なものへとアップデートしていきましょう。
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