「まず半年お試しで」その契約、「試用期間」になっていませんか? ― 有期雇用と試用期間の違い

皆様、いつもお世話になっております。スフィア法律事務所立川オフィスの代表弁護士のみくりやです。今回は、採用の場面でよくある「まずは半年、お試しで有期契約に」という取扱いに潜む法的な落とし穴について、裁判例を交えてお知らせいたします。

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「お試し期間」を有期契約にする会社は多いですが…

新しく採用した人をいきなり正社員にせず、「まず半年の有期契約で様子を見て、良ければ正社員に」という形をとる会社は少なくありません。期間満了で当然に契約を終わらせられる、という安心感があるためです。しかし、その契約が法的に本当に「有期雇用」と扱われるとは限りません。

落とし穴:実質は「試用期間」と判断されることがある

最高裁は、「適性を評価・判断する目的」で期間を設けた場合、期間満了で当然に契約が終了するという明確な合意など特段の事情がない限り、その期間は「試用期間」とみなすという考え方を示しています(神戸弘陵学園事件)。試用期間と判断されると、期間が過ぎても契約は自動終了せず、本採用の拒否は解雇に準じた厳しい制約を受けます。「お試しのつもり」が、実は簡単に終わらせられない契約だった、という事態が起こり得るのです。

裁判例:6か月の有期契約が「有期雇用」と認められた例

ソフトウェア会社が、エンジニアを「有期雇用6か月」で採用した事案があります(大阪高裁・令和4年判決)。後に契約終了の有効性が争われ、「これは実質的に試用期間だ」と主張されましたが、裁判所は有期雇用契約であると認めました。決め手となったのは、次のような事情です。

・契約書に明記していたこと(「更新がなければ期間満了で終了」「5か月目に正社員登用か終了かを相互に確認する」)

・採用前に有期雇用である趣旨を説明していたこと

・本人も「私は有期雇用です」と認識・発言していたこと

つまり、「期間満了で終了する」という明確な合意の裏付けがあったからこそ、有期雇用と認められたのです。

会社が気をつけるべきポイント

・契約書に明記する…期間、更新の有無、「期間満了で終了する」旨、評価の位置づけを書面で明確にする

・採用時に口頭でも説明し、記録を残す…本人が有期雇用と理解していたことを示せるようにする

・実態を伴わせる…他の正社員と全く同じ扱いだと「実質は試用期間」と見られやすい

・「期間満了=必ず終了」ではない点にも注意…更新の期待をもたせると、有期でも雇止めが制限される場合がある

まとめ

「お試しで有期契約」は便利な反面、合意や書面が曖昧だと「試用期間」と判断され、思うように終了できないリスクがあります。逆に、契約書への明記・採用時の説明・本人の認識といった裏付けを整えておけば、有期雇用として扱われやすくなります。採用形態の設計や契約書の整備でお困りの際は、採用の前段階からお気軽にご相談ください。

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